145年の歴史が作った奥深き味噌の世界/御膳味噌(井上味噌醤油株式会社)

『御膳味噌』という味噌を知っていますか?
御膳味噌とは、天正13年(1585年)の四国国分で阿波の国の領主となった蜂須賀公の御膳に献上されていたとされる味噌。
今でも徳島では『御膳味噌』という名前で多くの味噌が売られています。
御膳味噌の原料や製法には明確な定義はなく、現在は様々な作り方の御膳味噌がありますが、そんな中、古くからの御膳味噌の作り方を現在も守り続けている蔵元がひとつ。

明治8年創業・井上味噌醤油


それが徳島県鳴門市にある井上味噌醤油株式会社。
創業は明治8年。
明治から令和に至るまで145年間も味噌を作り続けてきた老舗中の老舗です。
時代は変わり大量生産が可能になった現代でも、井上味噌醤油では全ての工程を手作りで行っています。


その象徴とも言えるのが、『もろぶた糀(こうじ)』。
伝統的な木の道具(もろぶた)を使い、約40時間かけて米糀を手作りする方法です。
2時間おきに手作業で米の中に空気を入れて温度調節を行うなど、もろぶた糀には大変な手間がかかります。


さらに、井上味噌醤油の味噌づくりにおいて重要な役割を果たすのがこの木樽。
この木樽の中での天然醸造で味噌の熟成が進んでいくわけですが、なんとこれ創業当時から使っているものなんだそうです。
つまり145年モノ!
その木樽の効果を井上味噌醤油の7代目・井上雅史さんはこう話します。


「この木樽は杉でできていますが、140年以上も味噌づくりに使っていると木樽も成熟していくというか、木樽ならではの旨みが出てくるんです。だから、新品の木樽で作った味噌と比べると全く違う味わいになるんですよ」


と、いうことは、井上味噌醤油の味噌は創業当時そのままの味というよりも、145年の歴史の中で木樽と共に徐々に進化してきたということになります。


また、味噌づくりにおける木樽の効果は科学的にも証明されていて、徳島県立工業技術センターの研究によると、プラスチック容器での醸造と比べて旨み成分が1.5~2倍近くになっていたんだとか。


「糀を手作りして木樽で醸造している蔵元は全国的にみても数えるほどしかなくなってしまいました。不器用な蔵なのかもしれませんが、私たちはこの作り方しか知りません。そして、この味噌の味を喜んでくれる人もいます。だから、大変な作業で少量しか作れませんが、私たちは伝統的な味噌づくりを守り続けています」


そんな貴重な井上味噌醤油の『御膳味噌』。
井上さんに教えてもらったオススメの食べ方は、“生で食べる”こと。
というわけで、御膳味噌をお取り寄せしたらまずは火を入れずに生で食べてみましょう。
豆腐に塗ったり、ご飯にそのままのせるのもいいですね。
生でそのまま味わえば、木樽醸造ならではの香り高い発酵の風味に感動するはずです。
145年の歴史、ぜひ味わってみてください。
あ、もちろん味噌汁にしても美味しいですよ!